平成30年5月15日 経済水道委員会

【案件】
・所管事務調査
・特別史跡名古屋城跡天守閣整備事業に係る基本計画(案)の進捗状況について(観光文化交流局)
・特別史跡名古屋城跡バリアフリー基本方針(案)について(観光文化交流局)

「中川貴元の発言」
そしたら、エレベーター問題と法令等の関係について、少しお尋ねをさせていただきます。
まず、建築基準法ですけども、いわゆる第3条第1項、バリアフリー法と呼ばれるところですけれども、全文読むと長いので省略しますけれども、要はここで掲げるところの第1項もしくは第2項に掲げる建築物または保存建築物であったものの原形を再現する建築物で、特定行政庁が建築審査会の同意を得てその原形の再現がやむを得ないものと認めたもの、これについては適用除外ということになっておりますが、この点についてのまず本市の見解を。

「蜂矢主幹の発言」
3条の適用につきましては、名古屋城について昭和7年に史跡に指定され、天守につきましては国宝に指定をされておりました。残念ながら戦火で焼失してしまいましたが、特別史跡に指定された時点で、昭和7年に指定された史跡、これの条件を引き継いでおりますので、史跡に指定された時点で木造天守閣は存在していましたので、その関係で3条1項4号の再現というものに該当し得るというふうに判断をしております。

「中川貴元の発言」
次に、本市の福祉都市環境整備指針についてでありますが、これについては、設計・施工上の標準としての技術的基準の適用原則というものがあります。
 都市施設--この都市施設というのは公共建築物が入るわけですが、この都市施設の新設、増設、改修の工事に当たり、施設の用途及び規模、当該工事により整備される整備の範囲などを勘案して、可能な限り整備します。やむを得ず整備が困難な場合には、代替的・補完的措置を講じます。これについての見解を。

「蜂矢主幹の発言」
福祉都市環境整備指針につきましては、今回史実に忠実に木造復元をするということでございますので、基本的には焼失した時点の天守閣の姿を取り戻すということが大原則でございます。
したがいまして、バリアフリーの対策につきましては、先ほどから答弁させていただいていますように、新技術を活用して、それらを代替措置として、天守に上がっていただきたいというふうに考えているところでございます。

「中川貴元の発言」
じゃあ、次に、障害者差別解消法について、第5条ですけれども、みずから設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない。
あるいは第7条、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。この点についての見解を。

「蜂矢主幹の発言」
障害者差別解消法の5条につきましては、委員御指摘のとおり、行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、みずから設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならないとなっております。
これにつきましては、あくまでも我々としては、この部分については努力義務であるというふうに認識をしております。
第7条につきましては、合理的配慮のことについての記述がありますが、我々としましては、合理的配慮として今現時点において設計を進める中で、障害者の方であったりだとか、高齢者の方を排除するという考えで設計をしているわけではなく、何とかして上っていただくということを保証するということで、考えてやっているところでございます。
したがいまして、新技術の開発を進め、こういった方々に上がっていただくということについて、我々としてはそれが合理的配慮に当たるものというふうに考えております。

「中川貴元の発言」
そうすると、障害を理由とする差別の解消の推進に関する名古屋市職員対応要領、これについても今言及があったんだと思いますけれども、この対応要領についての2項、合理的配慮の提供についても、本市としては問題がないと、こういう見解ですか。

「蜂矢主幹の発言」
委員御指摘のとおりでございます。

「中川貴元の発言」
それでは、次に、愛知県の人にやさしい街づくりの推進に関する条例について、規則第5条の3号、文化財としての価値が高い特定施設の新築等をしようとする場合で、整備基準を遵守すると当該価値が著しく損なわれることになると認められるとき、この場合において適用除外ということになっていますが、この点についての本市の見解を。

「蜂矢主幹の発言」
今回、木造天守復元につきましては、先ほども説明させていただいたとおり、建築基準法3条適用を受けて、あくまでも文化財であったものを、原形を再現するということになっております。
したがいまして、文化財としての価値が高い建物として復元することを目指しておりますので、この人にやさしい街づくり推進に関する条例の、文化財としての価値が高い特定施設の新築というものに該当するものと考えております。

「中川貴元の発言」
それでは、少し知事の発言を引用させていただきますが、単にエレベーターをつけないというだけでは、直ちに障害者に差別的な取り扱いをしているとは言えないと。代替案があれば、直ちには言えないと、県の職員の方が発言をされたそうであります。
その発言について、知事の発言が以下のようでありました。例えば不適切な発言だと言わざるを得ないと思います。それは私が取り消しておきますよ。不適切な発言だと、軽率な発言だと言っていいと思います。そういうことはコメントすべき発言ではないと、このように知事が発言をしていらっしゃいます。これについての本市の見解は。

「西野所長の発言」
ただいま主幹が答弁してまいりましたように、私どもこの木造天守閣につきましては、エレベーターはつけないという方針ではございますけれども、そのほか新技術の開発などによりまして、皆さんに入っていただけるようにバリアフリーを進めようというふうにしておりますので、私どもとしてはその精神に反するものではないというふうに考えておりますので、単につけないだけで差別的な取り扱いをするとは言えないということについては、私どもの立場とは近いのではないかなというふうに思っております。

「中川貴元の発言」
それでは、これらのことについて、先ほどといいますか、この委員会が始まる前に、健康福祉局の局長からコメントをいただいてまいりました。少し読まさせていただきますね。
木造天守閣の昇降に関する付加設備の方針(案)について、障害者差別解消法においては、行政機関はみずから設置する施設の構造の改善及び設備の整備に努めなければならないとされています。今回、木造天守閣の昇降に関する付加設備の方針(案)においては、史実に忠実に復元するためエレベーターを設置せず、新技術の開発などを通して、バリアフリーに最善の努力をするとされております。
新技術の開発等で、必ず障害者の方にも天守閣内部が見られるよう最大限の努力をするとされており、エレベーターを設置しないことが直ちに基本的人権を侵害するとは考えておりませんが、引き続き障害者の方の意見を聞きながら、障害者の観覧環境の整備に努めていく必要があると考えています。
このように健康福祉局長からコメントをいただきました。これに対する当局の見解と、当局そのものの見解をお尋ねしたい。

「西野所長の発言」
ただいま健康福祉局の見解ということでお聞きいたしましたけども、私どもの考えといたしましても、今申し上げたように、バリアフリーへは最大限の努力をしていくということでございます。
そういう中で、それを実現するために障害者の方とのお話もしっかりとしながら、実際に使っていただけるものをつくっていくと、そういう必要があると思いますので、健康福祉局ともこれから十分にいろいろと連携をとりながら、そういうバリアフリーを進めてまいりたいと、そういうふうに考えているところでございます。

「中川貴元の発言」
そうすると、当局あるいは本市としては、法令等においては問題はないと、こういう見解なのかなと思って聞いておりました。
一方では、やはり障害者の方たちの気持ちの問題もあるのかなと、この二つの側面がありはせぬかなというふうに思っています。
先ほどから決意のあらわれとして、保証するという言葉を引用されたと、こういう答弁をいただきましたが、しかしながら、皆さんの決意が、皆さんはみずからが研究をし開発をするわけではありませんので、皆さんがどれほどの決意をもってここに挑むかということは、それはすなわち予算に反映をされるのかなというふうに思います。1000万円や2000万円の補助で、2022年までに間に合うかどうかは、極めて不透明であります。
そうすると、もしかしたら皆さんは障害者の方たちによかれと思って発した言葉が、保証するという言葉が、むしろ淡い期待にしてしまってはいけない、先ほどからの議論もそういうところにあるのかなと思いますが。
この皆さんの決意のあらわれは、やはり幾ら、どれだけここに投資をしていくのか。何が何でもやり切るんだということは、予算の額にも比例をせざるを得ない、比例してくるのではないかと思いますが、その辺のところのお考えはどのように持ってらっしゃいますか。

「渡邊局長の発言」
確かに、今年度の予算につきましては、このバリアフリー対策、2000万円の予算をちょうだいしているところでございます。
周辺施設のバリアフリー化と、あとは研究開発についての1000万円と、その2種類に分けて2000万円ちょうだいしとるところでございますけども、この研究開発の1000万円につきましては、先ほど来お話ありましたけども、課題の整理、あとはフィージビリティー調査的なものしかできない額だという認識でおりますので、今後、しっかりとした研究開発をしていくために、どれだけの予算を投入していくのかというのは、再度予算の中で審議をお願いしたいというふうに考えております。

「中川貴元の発言」
先ほど後列の方がこんな答弁をされていました。現時点においては、法令に抵触するものではないと。
勘違いをしないでいただきたいですが、私ども議会というのは、皆様が出してこられた事柄に対して、チェックをしていく必要がある。現時点において法令に抵触するものではない。しかしながら、将来においては法令に抵触する可能性があるとするのであれば、我々はそれに対してイエスとはなかなか言いづらい。
現時点においても、そして将来においても、法令に抵触するものではないと、はっきりと言っていただく必要がある。その点についてお尋ねをしますが、本件については、訴訟リスクは想定をしているのか。その場合には、どういう内容で訴訟が起こされるのかも含め、当然想定をしていくべきだと思いますが、現時点において訴訟リスクを想定しているのかどうか。

「渡邊局長の発言」
現時点におきまして、今回、知事の発言をいただきまして認識したところでございますので、我々としてはこれは法令に違反しないということで議論してまいりましたが、現時点において、その辺のところを弁護士等に確認してございませんので、今後その辺のところを詰めてまいりたいというふうに思います。

「中川貴元の発言」
これは正副の委員長を初め委員の皆さんにも少し御協議をいただければと思いますが、実はこの委員会でこの議論をするのは、一応このメンバーではここが最後ですね。
今、局長から弁護士に相談をしていきたいと、こういう御発言をいただきました。もしお許しをいただけるのであれば、あさってもう一回委員会がありますので、その訴訟リスクについてのお話を伺ってもいいかなとも思いますし、あるいは少し期間が短いので、新しいメンバーにそれは委ねようということであれば、私はそれでも結構かと思いますが、その点について少し御協議をいただければと思います。

「佐藤委員長の発言」
ただいま中川委員から御要求のございました件につきまして、御意見がございましたらお願いいたします。

「中川貴元の発言」
今、ちらちらと聞こえてきて、そのとおりかなとも思います。というのは、きょうあすに弁護士と相談をされて答えが出れば、では例えば柔軟に、正副委員長において柔軟に対応していただくか、あるいは弁護士の先生方もそれが1人でいいのか2人にするのか3人聞いてらっしゃるのか、前の名古屋城のときもそうでしたね。
したがって、弁護士の先生方に聞いて、それを精査するのに時間がかかると、あさってには間に合わないということであれば、それは新しいメンバーに委ねると、こういう柔軟な対応でもよろしいのかなというふうに個人的には、個人的には思いましたが、ちょっと委員長において御協議、お計らいをいただければと思います。

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